「すみません、これってつゆだくにできますか?」
先週、五反田の店舗で隣に座ったサラリーマンが、申し訳なさそうに店員さんに聞いていました。その気持ち、痛いほどわかります。メニューに書いていないことを頼むのって、なんだか悪いことをしているような、妙な緊張感がありますよね。
私も飲食業界の裏側を見てきて30年以上になりますが、実は「かつや」ほど、知っている人と知らない人で満足度に差が出るチェーン店も珍しいんです。ただのカツ丼が、たった一言で自分だけの特別メニューに変わる。あの瞬間こそが外食の醍醐味だと私は思います。
この記事では、現場を知り尽くした私が、明日から堂々と使える「注文の裏技」と、財布を守る「クーポン術」をこっそりお話しします。

気になった裏技があったら、まずは次回のランチで一つだけ試してみてくださいね。
メニューにない「味の魔法」を無料でかける
「マニュアル通りの味じゃ物足りない」。そんな時、実は意外と融通がきくのがかつやの面白いところです。タッチパネルが普及した2025年の今だからこそ、あえて「口頭で伝える」ことの価値が増している気がします。
つゆだく・ねぎ抜きのスマートな頼み方
カツ丼の醍醐味は、あの甘辛いタレが染みたご飯だという方は多いでしょう。私もその一人です。実は、牛丼屋と同じように「つゆだく」は無料で対応してもらえます。
逆に、「サクサクのまま食べたいから、つゆ少なめで」というオーダーも可能です。これが意外と通好みの頼み方でして、白米の甘みとカツの脂の旨味をダイレクトに感じられるんです。
頼むタイミングは、店員さんがお水を持ってきた時か、食券を渡すその瞬間。「つゆだくでお願いします」と、あくまでさりげなく添えるのがポイントです。
また、玉ねぎが苦手な方への「玉ねぎ抜き」も対応してくれます。ただこれ、調理オペレーション的には少し手間がかかる注文なので、私は混雑している昼の12時台は避けるようにしています。こういうちょっとした気遣いが、常連への第一歩だったりするんですよね。
三つ葉とご飯の量は「気分」で決める
カツ丼の上にちょこんと乗っている三つ葉。あれ、いい香りですよね。「三つ葉多め」という魔法の言葉を使えば、あの爽やかな香りを増量できます。逆に苦手な方は「抜き」も可能です。
ご飯の量についても、実は細かな調整が効きます。「ご飯少なめ」は無料です。最近は健康志向の方も増えているので、このオーダーをする男性客もよく見かけますね。
ちなみに「ご飯大盛り」はプラス150円ほどかかりますが、しっかり食べたい時は迷わず課金すべきです。中途半端に我慢して、後でコンビニでおにぎりを買うよりよっぽど経済的ですから。
[!TIP] タッチパネル店舗での注意点 最近増えているタブレット注文の店舗では、これらの細かいカスタムボタンがないことがほとんどです。その場合は、注文確定ボタンを押した直後に店員さんを呼んで口頭で伝えるか、最初から店員さんを呼んで注文するのが確実です。
好みの味が見つかりそうなら、次は「お財布」の話をしましょう。
財布が喜ぶ「無限ループ」のクーポン術
「かつや」に通う最大のメリット、それは味ではなく、この恐るべきクーポンシステムにあると私は確信しています。一度ハマると抜け出せない、嬉しい沼です。
100円割引券が作り出す「常連の輪」
会計の時に手渡される、あの紙の「100円割引券」。あれこそが最強のパスポートです。500円以上の商品なら毎回使えるので、カツ丼(梅)なら実質500円台で食べ続けられます。
有効期限はありますが、期限が切れる前に行きたくなってしまうのが人間の心理。もし手元にない場合は、初回だけ定価で食べるか、あるいは公式アプリをチェックしてみてください。
かつて私が失敗したのは、財布の中にクーポンがあるのに、うっかり出し忘れて会計を済ませてしまった時です。店を出てから気づいた時のあの敗北感といったら……。皆さんは、入店したらまずクーポンをテーブルに出しておくことをおすすめします。
アプリとタッチパネルの落とし穴
2025年現在、公式アプリのクーポンも充実していますが、注意点が一つ。紙のクーポンとアプリのクーポンは併用できないケースがほとんどです。
また、タッチパネル式の券売機を導入している店舗では、クーポンの読み込みにコツがいる場合があります。後ろに人が並んでいると焦ってしまい、「もういいや!」と定価で決済してしまった経験、ありませんか? 私はあります。
焦らないためにも、入店前にアプリを立ち上げておくか、紙クーポンを握りしめておくのが鉄則です。

もし「もっとお得に、違う味も楽しみたい」と思ったら、お隣のライバル店との比較も気になりませんか?
業界通が見る「松のや」との攻防2025
とんかつチェーン業界、ここ数年の動きは本当に激しいです。長年王者だった「かつや」に対し、牛丼チェーン松屋フーズが手がける「松のや(松乃家)」が猛追し、ついに店舗数で逆転現象が起きました。
2025年の店舗数逆転劇と選び方
日本経済新聞などの報道によると、2025年の春頃、ついに松のやの店舗数がかつやを上回りました。私たち利用者にとっては選択肢が増えるのは歓迎すべきことですが、使い分けが重要です。
| 特徴 | かつや | 松のや | 私の使い分け基準 |
|---|---|---|---|
| 味の方向性 | 甘めの卵とじ、王道 | サクサク感重視、あっさり | 疲れてガッツリ甘みが欲しい時はかつや一択 |
| 朝食 | あり | 超低価格(250円?) | コスパで朝を済ませるなら松のや |
| ご飯 | おかわり有料が多い | 定食ご飯おかわり無料 | 白米を無限に食べたいなら松のや |
| カスタム | 柔軟(裏技多め) | マニュアル通り | 自分好みに調整したいならかつや |
データ参照元:日本経済新聞 2025年8月16日、フードリンクニュース 2025年1月8日
私がかつやを選ぶ理由は、やはりあの「手作り感のある卵とじ」ですね。セントラルキッチンで作られた味とは一味違う、店員さんの腕が出るあの感じ。多少ブレがあるのも含めて愛おしいんです。
意外と知られていないテイクアウトの裏技
家でゆっくり晩酌したい時、私がよくやるのが「カツだけの持ち帰り」です。
公式メニューには大々的に書かれていないことも多いですが、多くの店舗で「カツ単品」の持ち帰りが可能です。これを家でオーブントースターで温め直し、自分で炊いた炊きたてのご飯に乗せたり、あるいは翌日のカツカレーに流用したり。
スーパーの惣菜コーナーのカツも悪くないですが、専門店のカツは肉の厚みと衣の剣立ち(パン粉の立ち具合)が違います。冷めても美味しい工夫がされているのか、時間が経っても油っぽくなりにくい気がします。

まとめ:今日からできる「通」への3ステップ
長々と語ってしまいましたが、かつやを楽しむのに難しい知識は必要ありません。明日から試せるのはこの3つだけです。
- 勇気を出して「つゆだく」「三つ葉多め」と言ってみる
- 会計時にもらった100円券は、財布の「一番目立つ場所」に入れる
- 混雑時を避けて、店員さんとのちょっとしたやり取りを楽しむ
たかがカツ丼、されどカツ丼。 数百円の食事で、「自分の好みをわかってもらえた」という満足感を得られる場所はそう多くありません。AIやロボット化が進む2025年の今だからこそ、こういう人間味のあるやり取りができるお店を、私は大切にしたいと思っています。
さあ、お腹が空いてきませんか? 今すぐアプリをチェックして、今日のランチは自分だけの「カスタムかつや」を楽しんでみてください。

