「この自転車、カッコいいけど……正直、怪しくないですか?」
先週の火曜日、店舗に相談に来られた50代の男性が、声を潜めて私にこう聞いてきました。スマホの画面にはADOの電動自転車が映っています。
わかります、その気持ち。私だってこの業界に30年以上身を置いていますが、新しい海外ブランドが出てくるたびに「またか」と身構える癖がついていますから。
でも、実際に試乗して、分解図を見て、私の認識はガラガラと音を立てて崩れました。結論から言うと、ADOは「中華製」という言葉で片付けるにはあまりにも惜しい、次世代の黒船です。
この記事では、長年自転車の油にまみれてきた私が、ADOの「出身国」の正体から、カタログには載らない乗り心地のリアルまで、忖度なしで語り尽くします。
ADO自転車はどこの国?「ドイツの頭脳、中国の筋肉」という正体

まず、皆さんが一番気にしている検索キーワード「ADO 自転車 どこの国」という疑問にズバリお答えしましょう。
答えは、ドイツ発祥、中国(深セン)製造です。
ドイツの設計思想が生んだ「質実剛健」
ADO(A Dece Oasis)は2021年、ドイツで産声を上げました。ドイツといえば、ご存知の通り工業製品の聖地です。私が昔乗っていたドイツ車もそうでしたが、彼らの設計思想は「無駄を削ぎ落とし、機能を美しさに変える」こと。
ADOのデザインを見れば一目瞭然です。バッテリーをシートポスト(サドルの下の棒)に隠すなんて、日本のママチャリ文化からは絶対に出てこない発想ですよ。
「世界の工場」深センの実力
そして製造は中国の深セン。「えっ、中国製?」と顔をしかめたあなた、ちょっと待ってください。
今の深センは、昔の「安かろう悪かろう」の工場地帯ではありません。AppleのiPhoneも、ドローンのDJIも、ここ深センで作られています。いわば世界最先端のハイテク都市です。
現在の本社機能も深センにありますが、重要なのは日本支社(東京都杉並区阿佐ヶ谷北4-28-11)がしっかり存在すること。私が若い頃、並行輸入のパーツが壊れて泣き寝入りした経験がありますが、国内に拠点があるだけで安心感は段違いです。
私がADOに惚れ込んだ「3つの革命的理由」
30年も自転車を扱っていると、多少のスペック向上では驚かなくなります。しかし、ADOには久しぶりに膝を打ちました。
1. カーボンベルトドライブ:もうズボンの裾を汚さない
これが最大の特徴であり、私が最も推したいポイントです。
普通の自転車は金属のチェーンを使いますよね。あれ、メンテナンスをサボるとすぐに錆びるし、油でズボンの裾が真っ黒になるんです。私自身、お気に入りのチノパンを何本ダメにしたことか……。
ADOはチェーンの代わりにカーボンベルトを採用しています。
- 油を差さなくていい
- 錆びない
- 30,000kmメンテナンスフリー
嘘みたいですが、本当です。走っている時の音も「シャーッ」というチェーンの音がせず、無音に近い。まるで氷の上を滑っているような感覚です。
2. 自動変速システム:自転車が「勝手に」考えてくれる
Proモデル以上に搭載されている機能ですが、これが賢い。
坂道に入ると、ペダルが重くなりますよね? 普通はそこでガチャガチャとギアを変えます。でもADOは、速度やペダルの重さを検知して、自動でギアを変えてくれるんです。
2025年現在、Air 20 Ultraに至っては「世界初3段自動変速」を搭載しています。もはや自転車というより、二輪のロボットに乗っている気分になりますよ。
3. 驚異的な軽さ:日本のマンション事情への回答
日本の電動アシスト自転車(ママチャリタイプ)は、平気で25kg〜30kgあります。これ、駐輪場のラックに乗せる時、腰を痛める重さです。
一方、ADOを見てください。
- ADO Air 20: 約16〜18kg
- ADO Air Carbon: 約14.5kg
14.5kgですよ? お米の10kg袋と5kg袋を持った感覚です。これなら、エレベーターのない団地の3階まででも、女性が片手で持って上がれます。

【本音レビュー】メリットばかりじゃない、デメリットも知っておくべき
褒めてばかりだと「回し者か」と思われそうなので、現場目線で気になった点も正直に書きます。
デメリット1:サドルが硬い
これは欧州ブランドあるあるなんですが、ドイツ人はお尻が鉄でできているんでしょうか(笑)。純正サドルはスポーツ仕様で、クッション性が低いです。
【対策】 購入と同時に、クッション性の高いサドルカバーを買うか、サドル自体を交換することをお勧めします。これで解決します。
デメリット2:組み立てのコツ
「7割完成済み」で届きますが、最後の組み立てが必要です。説明書が少し不親切な部分があり、プラモデルが苦手な人は戸惑うかもしれません。
【対策】 紙の説明書より、YouTubeの公式組み立て動画を見ながらやるのが一番早いです。動画を見れば30分もかかりません。
どれを買う? 松竹梅で選ぶおすすめモデル
ラインナップが増えて迷うと思うので、私が友人に勧めるならこう選ぶ、という基準を表にしました。
| モデル名 | 価格(税込) | こんな人におすすめ |
|---|---|---|
| ADO Air 20 | 138,000円 | とりあえず安く、おしゃれに乗り始めたい入門者 |
| ADO Air 20 Pro | 198,000円 | 自動変速で楽をしたい、一番人気が欲しい人 |
| ADO Air 28 Pro | 228,000円 | タイヤが大きい方が安心。通勤・長距離メインの人 |
| ADO Air Carbon | 288,000円 | 軽さは正義。予算はあるから最高のものが欲しい人 |
個人的なイチオシは、バランスの良いADO Air 20 Proです。自動変速の恩恵は一度味わうと戻れません。
国内メーカー vs ADO:決定的な違いは「思想」
パナソニックやヤマハ、ブリヂストンといった国内大手も素晴らしい自転車を作っています。私も大好きです。
ただ、彼らが作っているのは「生活の道具(ママチャリの延長)」です。
対してADOが作っているのは「移動を楽しむガジェット」です。
- 安心感とカゴ付きの実用性を取るなら、迷わず国内メーカーを選んでください。
- デザイン、軽さ、メンテナンスからの解放を求めるなら、ADOが正解です。
特に「チェーンの油汚れ」と「重さ」にうんざりしているなら、ADOへの乗り換えは人生が変わるレベルの体験になりますよ。
まとめ:ADOは「買い」か?
結論として、ADO電動自転車は以下のような方には、自信を持っておすすめできます。
- 人と同じ「ママチャリ」には乗りたくない人
- マンション住まいで、室内保管や持ち運びを考えている人
- ズボラで、チェーンへの注油なんて絶対にしたくない人
「どこの国の自転車か?」という不安から始まったこの記事ですが、ドイツの設計と深センの技術力が組み合わさった今のADOは、むしろ「コスパ最強のハイテクマシン」と言って差し支えありません。
現在、公式サイトではクーポンの配布やキャンペーンを行っていることも多いです。ただ、人気モデル(特にProシリーズ)は入荷してもすぐに在庫切れになる傾向があります。
もし在庫があるようなら、それは運命の出会いかもしれません。新しい相棒と一緒に、風を切って走る爽快感を味わってみませんか?

